私がずっと足りないと感じ、探し続けていた存在。それこそがセーラーウラヌスで、天王はるかだった。
初めてはるかの存在を知った時、なぜかとても強く惹かれる存在だと感じた。その時点では私とまるで接点がなく、遠い世界の人間だと思っていた。そもそも私はこれまで他人に興味を持つこともほとんどなかった。にも関わらず、私はこの人に会いたい、会って話がしたい……そう感じた。
海王家のコネクションを使えば、きっと何かしらの力ですぐにでも会うことはできただろう。はるかの家柄を考えても、話はすぐに通じたと思う。しかし私は直感的にそうすべきでないことを感じていた。自分で彼女のことを調べ、自分の力で彼女に会うべきだ、と。
だから、なるべく自分の力ではるかのことを調べ、数少ない友人のエルザ・グレイが大会で競う相手がはるかだと知った時……強い衝撃を受けたような思いだった。ついに来たのだ。彼女に会うべき時が。
はるかは、ずっと探し求めていた私の一部のような存在。もちろん、別人格を持った他人だと自覚しているし、彼女を私の使命に縛り付ける気などなかった。
でも、はるかは私と共に戦う道を選んでくれた。
だから……だから私は、はるかを自分の一部だと思って守ることに決めた。使命を最優先にしながらも、はるかを絶対に傷つけたくない、その決意を心の中心に抱いていた。
自分が傷つくよりもはるかが傷つくほうが怖い。戦いのたびに、はるかを失う恐怖が付き纏う。できれば自分一人で戦いに行きたいと思っているくらいだけど、はるかの力がなければ使命を進められないこともわかっているし、はるかの存在そのものに勇気づけられている部分もあるのだ。
毎回このジレンマに悩まされる。だから戦いのあとはこうやってヴァイオリンを弾いて、もう一人の自分に聞く。
「私の判断は正しかったのかしら」