気づいたら僕は無我夢中でみちるに口付けていた。背中に腕を回し、力を込める。
熱く、強く、息がつまるほどに。互いに冷や汗をかいたせいだろうか、繋がった唇にもわずかな塩気を感じた。僕はそれすらも貪り、吸い尽くすように唇のラインを舐め取る。
みちるの表情は見えないが、突然のことに明らかに動揺しているのが伝わってくる。最初は僕の動きを、身体を強ばらせ、息を乱しながら受け入れていた。
しかし僕が角度を変えて口付けを繰り返すうちに、みちるが僕を受け入れ始めた。それはまるで、歯車が噛み合って回り始めるかのように。
唇の隙間から熱く息が漏れ始める。みちるの身体から力が抜けて柔らかくなり、僕の背中に手が回される。
それを合図に、僕は口付けたままのみちるをベッドに沈めた。みちるの唇の隙間から舌を忍ばせ、みちるのそれを探す。すぐに繋がり、また離れ、繰り返すように絡めあった。静かなベッドルームに、二人の息遣いと舌を絡め合う音だけが聞こえる。繋がっているのは口とその舌先だけなのに、身体中が熱く、二人で溶け合ってしまいそうな、そんな錯覚を覚える。
ずいぶんと長く絡み合って、ようやく僕は唇を離した。混ざり合った唾液が細い糸のように繋がるのが目に見える。みちるは上気した顔でうっすらと目を開けた。
「はるか……」
目に涙を浮かべて僕の名を呼ぶみちるを見たら、僕の理性をギリギリで保っていた何かがプツンと切れた。
僕はもう一度みちるの上に覆い被さり、首に噛み付くようなキスをする。
「あぁっ……」
みちるの口から漏れ出た甘い声を聞いて、僕は加速する。首筋に舌を這わせた。先ほどまでの名残でそこもしっとりと汗をかいていたが、構わない。すべてみちるの味だ。下から上に向かって舐め取っていく。僕の中にみちるが入ってくるようで、内側からぞくりと震えが走った。みちるも身体を震わせながら、僕の行為を受け入れていた。
「あっ……はる……かっ……」
みちるは、もう僕しか見ていない。もう僕のことだけしか呼んでいない。
わかっていたけれど、もう一度呟いてしまう。
「僕だけを見ていて。みちる」
みちるが震えながら頷くや否や、僕はみちるの髪を掻くように額を撫で、もう一度深く口付けた。
そのまま片手でみちるのネグリジェのボタンを外す。艶やかな素材のネグリジェはみちるの肩からするりと滑り落ち、暗がりに白い肌が浮かび上がった。もう一度首のラインに口付け、鎖骨に沿って舌を滑らせる。みちるは腰を浮かせ、甘い吐息を漏らした。
みちるの声を聞いていると、だんだん気持ちが昂っていく。僕は白いキャンバスに赤い花びらを散らしていった。僕がきつく吸い上げるたび、みちるは喜びと苦しみに溢れた声を上げた。その声に押されて、僕はまた跡を残してしまう……。
この感情はなんだろう。
まさかみちるが、未だに夢の中でウラヌスに会っているとは思わなかった。それも、前世の。
僕よりも戦士としての覚醒が早かったみちるが、かつて前世のことを夢に見ていたというのは知っている。だけどまさか、今もそうだなんて。
……しかもそれが、僕との喧嘩を理由に引き起こされていただなんて。
「……はるか・・っ……んっ」
みちるに名を呼ばれ、僕ははっとした。気づいたら僕の唇はみちるの豊かな双丘に辿り着き、先端の蕾に舌を這わせていた。もう片方の膨らみは、僕の片手でやや乱暴に揉みしだかれている。
視線の先に、僕が先ほど散らした赤い跡が点々と残っている。いつもよりきつく吸ってしまったその跡は、みちるの白い肌にはっきりと刻印されていた。
……らしくない。今は存在しない相手に嫉妬してみちるのことを優しく抱けないなんて。
僕の中の、欲情以外の熱い感情が少しだけ冷めた。
僕の手の中にあった片方の蕾を、今度は指で優しく撫でるようにした。口の中にあるもう片方も、舌で転がす。先ほどよりも甘く、優しく。
「……んんっ」
みちるがびくりと身体を震わせた。僕の下に重なるみちるの身体から、腰の動きと震えが伝わる。下肢がまとわりつくように絡み、僕は求められていることに興奮を覚える。
先ほどまで脳内にこびりついていたあのおぞましい光景は、いつの間にか消えていた。今僕の視界に入るのは、僕を求めて喘ぐみちるの姿だけだ。
「みちるの中が僕でいっぱいになったら、もうウラヌスの夢なんて見ない。」
僕はそうみちるに囁いた。本当にそうなる根拠はなかったけれど、僕はもう、みちるに僕以外を見て欲しくなかった。例えそれが、今この世に存在しない相手だとしても。
みちるは応えるように僕に小さく囁く。
「はるかが……欲しいわ……」
僕は自分の衣服を取り去り、素のままの姿になった。同様に、みちるに残っていたものも全て取り去る。もう何度も肌を重ねたのに、未だに恥じらう姿を可愛らしく思いながら、僕はその上に優しく重なった。
みちるの閉じられた下肢の間に自身の足を潜り込ませる。
「だめ……」
みちるが若干の抵抗を示すが、言葉とは裏腹にそこは安易と開かれ、熱い中心部分が僕に触れた。
僕と重なる全ての部分から、みちるの肌の熱く滑らかな感触が伝わってきて、僕はそれだけで頭の芯まで熱く融けそうだった。
僕はみちるのウエストラインを舌で舐め、そのまま下に下に移動していく。みちるの足の間に入り込んだ僕は、舐められるたびに粟立ち、震えるみちるをその肌で感じる。
太もものライン、そして秘部の入口付近に舌を這わせると、みちるは軽く腰を浮かせ、口からは甘い息を漏らす。
「はぁっ、はる、か……そこはっ……」
抵抗なのか受け入れなのか判別のつかないその声を聞きながら、僕はみちるの蜜壺を指先で軽く撫でた。
そこはすでに溢れるほどに潤いを湛え、充血して熱を持っていた。僕の指先にはみちるの蜜がたっぷりと乗る。
「いい?いくよ……」
答えを求めないその問いかけの後、僕はそこに顔を埋め、舌で中心を舐め上げた。みちるから出た蜜を舌で絡めとり、なおも溢れ出る蜜も吸う。舌先を中に差し入れ上下に動かすと、みちるは先ほどよりも強く足を震わせ、嬌声が高くなる。
中はしっとりと湿り、熱く、柔らかく僕の舌を受け入れた。尖った先端を舌で突き、吸い上げると、みちるの声が跳ねる。
「ああっ!そこはっ……だめっ……ああっ」
みちるが僕の頭に手を伸ばし、くしゃりと髪を掻いた。それは僕を止めるでもなく、宛てもなく僕の頭をかき乱す。
舌を入れたみちるの中は温かく、ぴくぴくと痙攣のような震えが伝わってくる。僕は舌を差し入れたまま、指で尖った部分を摘んだ。ぬるりと柔らかいそこを刺激すると、みちるが高い声とともに腰をびくんと揺らす。
みちるに髪を掻き乱されながら、僕は舌を動かし、指で先端を弄った。掬いきれないほどの蜜が溢れ、僕の口元を濡らす。わざと音を立てるようにしていたら、僕の気持ちまで煽られて刺激され、頂点に達しそうだった。
直後、高い声を上げていたみちるの喘ぎが、突如として声にならないものに変化した。舌を入れていた秘部が思い切り痙攣し、締まるのを感じる。僕の髪を触っていた手がぐっと握られ、足で思い切り僕の頭を捉えた。全身でみちるが達したのを感じて、僕も絶頂感に浸る。