互いを夢中で高めあっていたら、いつの間にか僕の指はみちるによってしとど濡れ、みちるの肌にも僕の舌によって艶々とした跡がつけられていた。
僕もみちるも十分すぎるほどに高まっていることがわかったので、みちるの口から指を引き抜いて、ショーツの隙間から中に触れた。そこはたっぷりと濡れ、温かく滑りのある愛液が溢れ出している。
やや乱暴になってしまう気持ちを必死で抑えながら、ショーツを取り去り、濡れた中指をあてがった。いつもの僕だったら丁寧に入口に触れて、ゆっくりと楽しんでいたかもしれないけれど、今日は落ち着いて待ってなどいられない。僕を受け入れる準備ができているそこに、焦って痛めないよう、今僕ができる最大限の丁寧な動きで指を差し込んだ。温かく狭い空間を進むと、僕の指は圧迫され、包み込まれた。
みちるが僕を受け入れる表情を見ながら、僕は自分の左手をみちるの左手に絡めた。そして右手をゆっくりと動かす。柔らかい壁が僕を締め付けた。
今日はお互い、ゆっくり感じあって楽しむ余裕はないらしい。僕もみちるも、もう近くに迫ってきている快感に飲まれそうであることは明白だった。
何度かみちるの中で指を往復させてから、早々にもう一本中に指を差し込んだ。みちるは軽く腰を浮かせ、それを飲み込む。
僕はみちるの中を傷つけないように気をつけながら……だけど逸る気持ちに駆り立てられながら、みちるの中をかき混ぜた。
「あっ……んっ…はるか……」
喘ぎの合間に名を呼ばれ、僕はみちるに軽い口付けをした。
唇を離すと、みちると目が合う。
――泣いている。
みちるは大きな瞳から、ぽろぽろと大粒の涙を零していた。
「はっ……あっ……るかっ……」
僕の名前を呼びながら、泣き続けている。
――どうして。
「みちる」
口に出して呟いてから、気づいた。
――僕も、泣いている。
目を瞬くと、目の前のみちるがぼやけて歪んだ。みちるは僕の左手をぎゅっと掴む。
「おね、がい……離さ、ないで……」
喘ぎの隙間で、みちるは僕にそう懇願した。
――言われなくたって、僕はそのつもりだ。
みちるの声が一段と高くなり、僕は右手の動きにスパートをかける。
「……みちるっ……」
「あぁっ……はるか……っ……」
互いの名を呼び合った直後、みちるの嬌声は絞られるような微かな声に変化した。繋いでいた左手が、爪が白くなるほどにぎゅっと握られる。みちるの中の僕の右手も、ぎゅうっと締め付けられた。
みちるが達した直後に、僕も指先から全身に駆け抜けるような快感が走った。僕は力を抜いてみちるの上に重なるように密着する。
泣き濡れたみちるの目尻に口付けて、涙を掬った。塩辛さが僕の舌から伝わってくる。
――もう、離さないよ。
口から言葉を発したつもりだったが、それが本当に口から出てみちるに届いていたかどうかまで確認することができなかった。僕は頭の奥から沼に引っ張られるように、意識が遠のいて行くのを感じた。
疲れていたせいなのか、それともみちるに会えたことによる安堵なのか……。本当はまだみちるとの時間を楽しみたいのに。
そう思っていたが、眠りに引き込まれていくふわりとした瞬間は、とても心地よかった。
眠りに落ちる瞬間か。それともすでに夢の中に引き込まれた後か。
僕はみちるの囁く声を聞いた。
「ありがとう、はるか。また明日の夜に……」