今日も素敵な一日だった。
はるか、ほたる、せつなと朝食を食べて、午前中ははるかとデート。
午後からはバイオリンのコンサート。夜はコンサートを見に来てくれたはるかと落ち合ってディナー。
……あら、私、今日もコンサートの時間以外ははるかといたのね。
自分で気づいた事実に胸がほんのり温かくなった。
疲れた身体をゆっくりと湯船で休めてから部屋に戻ると、はるかは窓辺に座っていた。部屋の明かりもつけず、月明かりで青白く照らされている。
「そんなところで何しているの?」
「月が綺麗なんだ」
ほら、とはるかが示す方を見ると、真っ白な満月が輝いている。
「……思い出すだろ」
それが何のことか、はっきりと言葉にしなくてもわかる。
前世で太陽系を守りながら見た地球や月。今夜の月は、あの頃に負けず劣らず美しい。
「でも、あの頃とは違うわ」
「え?」
「あの頃は一人で見ている時間が長かったもの」
お互い、使命の為に生き、孤独に戦い続けていたあの頃。
あの頃の月を思い出すと、孤独感も同時に思い出される。
確かにそうだな、とはるかは呟き、立ち上がる。
そしてこちらを向いて手を差し出した。
「みちる。
……今夜は月が綺麗だね」
……ああ、今私は、頬が染まっているかもしれない。月がこんなに明るくなければ悟られることはないのに。
この喜びと恥ずかしさをそっと心の中に隠し、手を差し出す。
「……ええ。本当にそう思うわ」
自然な流れで口付けられ、そしてそのままベッドに倒れ込んだ。
首筋に優しいキス。まるで花を優しく摘み取るかのように。
「……続きは今夜って、約束しただろ?」
耳元で甘く囁かれる声。私はその声にも息遣いにもぞくぞくとした喜びを感じて、また紅潮する。
はるかは私との約束は破らないものね。せつなとの約束は何度も破っているけれど。
月明かりに照らされながら、今日も私たちは二人の世界で溶け合っていく。