眩しい光を目に感じて、うっすらと目を開けた。
カーテンから日差しが差し込んでいる。
隣……いや、ほぼ自分の胸元の位置に、みちるがいた。
まるで母親に寄り添う子猫のように、ぴったりと柔らかい身体を僕に押し付けている。
安らかな寝息に合わせ、わずかながらその身体が上下する。
全ての戦いが終わり、みちる、せつな、ほたると共に暮らし続けているこの家で、僕とみちるは同じ部屋で寝ていた。
ほたるには、自分も一緒に寝たい、無理ならば隣の部屋で、と懇願されたが、せつなに強く止められたため、せつなの部屋を間に挟む形となった。
「あまり夜更かしはしないように」という忠告付きで。
僕達はそんな忠告を時々守り時々破り……昨日は後者だったのだが……ただ二人で、悪夢に怯えることなく寝られることに幸せを感じながら過ごしていた。
みちるの柔らかくて長いまつ毛に触れる。そして頬に指を滑らせる。
昨日あれほど求め、愛したと言うのに、まだ僕は彼女が欲しい。ずっと傍にいて、触れ続けていたい。
でもその感情を言葉で表現し切れないから、僕はまたその頬に口付ける。
触れるか触れないか、くらいの優しい口付け。
「……ずるいわ。自分だけ楽しむなんて」
起こすつもりはなかったが、気づかれてしまったらしい。
「じゃあ、もう一回する? 昨日の続き」
みちるの耳元に耳を寄せたその時。
「せつなママーっ! はるかパパとみちるママ、起こしてきてもいいー?」
廊下に響き渡るほたるの声。
追って、慌ててそれを止めるせつなの声もする。
「いけませんっ!」
「……どうやらのんびり寝てはいられないようね」
みちるがくすりと笑った。
「じゃあ、続きはまた今夜」
もう一度、今度はみちるの手に優しく口付けるだけに留め、僕は立ち上がった。
またゆっくりやり直せばいいことだ。
今夜も、その次の夜も、もう僕らは離れる心配をすることはないのだから。